
CEOブログ
三つのターニングポイントとミャンマーレストラン
※本記事は2020年12月作成の再掲です。Koeeruの前身となるSyno Japan社が作成しています。
今年も気づけばあと二週間。今年1年は否応にも普段の生活や自分自身を見直す機会も多く、2020年を自身の「ターニングポイント」になった年と振り返る人も(私も含めて)多いのではないだろうか?
今回のブログは私自身がビジネスで経験した「ターニングポイント」について、個人、会社、そして組織単位で考えてみたいと思う。
個人単位のターニングポイント
2007年からスタートした自身のキャリアを振り返って、個人としてターニングポイントとなったと思える仕事や人との出会いはいくつかある。その中で今でも記憶に残っているプロジェクトがある。最初の外資系金融情報ベンダー時代のことだ。前例が全くなく、会社としても初めての行政との実績となる大型のプロジェクトで、普通に考えても、当時会社の一番の若造に任せられる類のプロジェクトではなかった。結果、紆余曲折はもちろんあり、クライアントや同僚、上司に迷惑を掛けながらも、プロジェクトを何とか遂行した。そこから得た経験(失敗も含め) は、現在の仕事に対する姿勢や考え方に大きく影響し、何事も「できないことはない」という思える自信(=妄想力)につながっていることは確かだと思う。最近、面接をする立場になって、履歴書上の職務経歴に記載される華々しい経験を自分の言葉で話してもらうと、そのプロジェクトにどういった関わり方をしていたのかよくわかるようになった。結局は、プロジェクトの規模ではなく、そのプロジェクトでどういった立場で関わっていたのかが、その人の本当の経験であり、その場限りではないスキルにつながるのではないか。だからこそ、最初の仕事で大きなプロジェクトの中で深く関われたことはは本当に幸運で、これが個人的なターニングポイントだったと率直に思える。そんな機会は多くないし、望んでも容易には訪れないから。
会社単位のターニングポイント
スタートアップの草創期(少なくとも自分が経験した )は、無名の企業に対して仕事をくれるクライアントのタスクを、少人数でこなしながら、(言い方は悪いが)食いつなぎ、その合間を縫って自社のビジネスモデルを構築し検証する日々だ。Syno Japanの草創期(2016-2019)も同様だった。クーラーの効きが悪い表参道の「リトアニア風の」マンションの一室で、私を含めて4人が皆、営業もプロジェクト管理も経理も人事も、要は「Syno Japan」を続けるための仕事を全てこなしていた。その多岐に渡る業務の中には、「日本に住んでいるミャンマー人」からアンケートの回答を集めるために、高田馬場のミャンマーレストランにQRコードを持参して、アポなしで乗り込むといった越境ぶりを発揮するツワモノもいた。チーム間のコミュニケーションなんて考える暇はない。なぜなら、チームなんて分かれていないから。そんな「がむしゃら」な日々の中でも、会社を大きく飛躍させるターニングポイントと言えるプロジェクトに出会えることがある。Synoが0→1の草創期で確立した①グローバルリサーチ、②カスタマーエクスペリエンス(CX)、③ゼロパーティデータ分野の「プラットフォーム+α」のビジネスモデルも、草創期のメンバーが各ソリューションのターニングポイントとなるプロジェクトの中(ミャンマーレストランもその一部)から構築し、それをもって次のステージ(成長期)に移行することができたのだ。会社のターニングポイントを経験できること、それもそこまで機会は多くない。
組織単位のターニングポイント
個人、そして会社ときて、最後は組織が変わるターニングポイントとは何か?草創期から成長期を迎えるにあたり、人数も増え、日本とベトナムオフィスとの新たな連携、営業、CS、オペレーション、ITチームなどの役割やルールの明確化などを通じて、組織は大きく変わってきた。しかし組織単位のターニングポイントを考えるとき、新しい体制の構築は、組織の意識を大きく変えるようなターニングポイントではない。では一体何が組織にとってのターニングポイントなのか?会社や組織が目まぐるしく変わる中、その変化の中に自身の居場所/やりがい/自身のやりたいこととの接点を上手く見つけていく人もいれば、そうでない人もいる。自身のやりたいこと、働き方、貢献できることが自分の中で明確であればあるほど、自身と会社との目指す方向に差が生まれたとき、そのギャップに悩み、大きな決断をしなくてはいけなくなる。その差というものは、会社に入ってから思ってたのと違ったと気づく場合もあるし、草創期には見えなかった差が成長期の中で見えてくる場合もある。組織単位のターニングポイント(特にスタートアップにおいては)、それは後者が原因で古株の草創期メンバーが卒業することなのではないだろうか。誰のせいでもない、こうした差が原因であることは、去る者、残る者、両者にとって非常にやるせないとしか言いようがない。ただ一つ言えるのは、これこそが組織単位のターニングポイントになるということだ。なぜなら、残されたメンバー全体の意識が大きく変わるから。草創期メンバーがいなくなるという現実を目の前に、残る決断をした自分の選択が自分にとって正しかったと証明しようとすること、そして去っていくメンバーにとってSynoという場所で経験したことを自分の言葉で胸を張って話せるような会社にしていこうと思うこと、この意識の変化をこれまでも多く見てきたからだ。組織単位のターニングポイントを経験すること、それも簡単に経験できることではない。
個人、会社、組織のターニングポイント。それらを全て実際に経験できる機会はそう多くはない。だからころ誇りに思ってほしい。インターンで入った最初のキャリアで経験した3つのターニングポイントを、そしてミャンマーレストランを。
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