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“現場の声が未来を変える”―名鉄生活創研が挑むVOCの可能性
名鉄グループの小売部門の一翼を担う株式会社名鉄生活創研では、現場の声(Voice of Customer:VOC)を活用した新たな取り組みを行いました。今回、愛知県の「オープンイノベーション事業」に参加し、株式会社KoeeruのVOCプラットフォームを活用した実証事業に挑戦。その背景や現場での気づき、得られた成果について、名鉄生活創研のお二人土橋さん、野村さんにお話を伺いました。
自己紹介と企業紹介:リテールと共に歩んできたキャリア
長野(インタビュアー): まずは、お二人の自己紹介と名鉄生活創研について教えてください。
土橋さん:名鉄生活創研は、名古屋鉄道のグループ会社として駅ナカコンビニや雑貨店、お土産屋さんなどを運営する会社です。私自身は元々カフェで店長を経験しており、現在はITとDX推進を担当しながら、オープンイノベーションや新規事業も並行して行っています。
長野: ITと現場の両方をご経験されてるのは珍しいですよね。
土橋さん: 社内では理系出身が少なく、IT系を任されることになりました。最近は、AIアバターを活用した新規事業にも取り組んでおり、生成AIの活用が広がる中、ゼロパーティデータの取得に挑戦しています。
野村さん: 私はリテール一筋で、入社後はセントレアのコンビニに配属されました。店長を経て、スーパーマーケットの新店立ち上げも経験し、昨年7月から名鉄生活創研の本社勤務となりました。DX推進担当の傍ら、オープンイノベーションや製造小売事業なども手掛けています。
オープンイノベーションへの参加と顧客の声(VOC)収集の背景
長野: 今回、愛知県のオープンイノベーション事業に参加された背景は?
土橋さん:もともと現場の声としてあった「言語の壁」「外国人のニーズが見えづらい」などの課題を抱えた繁忙店が、ちょうど本事業の対象エリアにヒットしたんです。他にもテーマに「人手不足」などを掲げて参加しました。
野村さん: 私は今回が初めてのオープンイノベーション参加でしたが、スタートアップ企業の文化に触れ、新しい刺激を得られたのが大きかったです。
長野: Koeeruを選んだ決め手は?
土橋さん: 最初はAIカメラによる映像解析技術も検討しましたが、設置のハードルが高かったり、個人情報の懸念があったりして断念。その中で「お客様の声を直接拾える」Koeeruのアプローチに可能性を感じました。店舗の負担も少なく、自然な形でリアルな声が集められる仕組みだったからです。

顧客の声(VOC)収集による変化と成果
長野: 実際に顧客の声(VOC)を収集してみて、どんな変化がありましたか?
野村さん: 現場から「今までこんな声は取れていなかった」と驚きの声がありました。また、お客様と同じ国籍のスタッフが同郷のお客様にアンケート協力を促すなど、積極的な動きが見られました。お客様の生の声があることで、多言語案内設置や売り場改善など、具体的なアクションにもつながりました。
土橋さん: お客様の最後の一言に「ありがとう」「丁寧だった」など温かみのあるフィードバックが含まれていて、それが従業員のモチベーションにつながっています。数値だけでは測れない“人と人とのやりとり”が見えるようになったことが非常に大きいです。
長野: 従来はマイナスの声しか届かない傾向がありましたよね。
野村さん: はい。口コミ等で見る事ができるものは改善案が多く、お褒めの声はあまりシェアされませんでした。KoeeruのVOCプラットフォームではプラスの声も拾えるのが魅力です。

無人化とリアル店舗の価値
長野: 無人化が進む中で、リアル店舗の価値はどうお考えですか?
土橋さん: 無人化は人手不足問題や人件費コスト削減の面で利点がありますが、購買動機や喜怒哀楽の感情を拾うことができないのが課題です。どのような背景でその商品の購入に至ったか、人がいるからこそ察して拾えるニーズがあるため、現状リアルの価値は揺るがないものです。
野村さん:無人店舗だとどこに行っても同じになってしまう。やはり相手に合わせた個性のある接客ができるリアルの強みを活かすべきです。
データで広がる気づき
長野:今回はタッチポイントの旅ナカアンケートの他に、グローバルリサーチも活用されましたよね。
土橋さん:はい。中部エリアのインバウンド強化に向けて、旅マエ・旅アトの外国人旅行者の意識や行動を把握するため、Koeeruのグローバルリサーチを実施しました。これまでは、自社で企画したモニターツアーを実施し、外国人観光客の生の声を収集してきましたが、参加者数が限られるためサンプル数が不足し、意思決定に必要な十分なデータを得ることが難しいという課題を抱えていました。 そこで今回Koeeruのグローバルリサーチでは、過去には困難であった十分なサンプルサイズを確保し、中国・香港・台湾・韓国・フィリピン・ベトナムの6カ国において計1800サンプルという大規模調査が実現しました。また、多言語に対応した調査設計とオンラインパネルを組み合わせることで、質の高いデータ収集が効率的かつ短期間で可能となり、スピーディーに得られたのは大きな成果です。
長野:収集したデータはどのように活用される予定ですか?
土橋さん:今回の結果を名鉄グループで共有し、共通して活用できるデータとして役立てていきたいと考えています。また、観光客のニーズを正確に把握し、サービス改善や商品企画にも積極的に反映していきます。
今後の展望とVOCの可能性
長野: 最後に、今後のVOC活用の展望をお聞かせください。
土橋さん: 今後は愛知県全体、さらには中部エリア全体で共通のVOC基盤を構築し、官民一体で地域に還元できるような仕組み作りを目指したいです。愛知県は交通の便は良いですが、情報発信やデータの活用はまだまだこれから。地域全体で声を拾い、共有していく文化を育てていきたいと思います。
野村さん: 店舗だけでなく、今後は観光・宿泊などの他業種や、従業員の声も含めた多角的なデータ活用ができると良いですね。接客の質を高めることで、より愛される店づくり、街づくりにつながるはずです。
長野: 現場の声を起点に、企業や地域の未来を変える。まさにその第一歩を踏み出されたお二人のお話でした。ありがとうございました!

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