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リサーチの効果を最大化する調査票(質問票)の作り方|Koeeru Academy
市場調査を実施する上で悩みの種となるのが、アンケートの調査票(質問票)の設計ではないでしょうか?実際に、調査票が上手く設計されたアンケートでは、質の高いデータを得ることができます。
とはいえ、「調査に最適なフォーマットをどのようにして作成するか」ということは、プロジェクトを開始しようとする多くの人が抱える悩みでしょう。プロのリサーチャーは、時に数年をかけて論理的なアンケートの調査モデルを構築します。しかし、今回ご紹介するポイントを押さえれば、インターネットリサーチ(Web調査)を実施する上でアンケート作成にまず必要となる基礎知識を簡単に把握することができます。
目次
1.調査票(質問票)とは何か
2.調査票(質問票)を作成する前の企画・設計
- 調査の目的を見極める
- 調査方法を定める
3.調査票(質問票)を作る4つのポイント
- 調査票(アンケート質問)は簡潔かつ論理的に
- 適切な設問タイプを用いる
- 誘導的な質問に注意し回答バイアスを防止
- 回答者にとって分かりやすい言葉を使う
4.調査票(質問票)を確認するソフトローンチ
- 質問内容を事前テストする
5.Koeeruで使用しているアンケートツール
調査票(質問票)とは何か
マーケティングリサーチを実施したことがある人なら「調査票」や「質問票」などの言葉を聞いたことがあるかもしれません。
調査票とはアンケート調査における質問文や選択肢を回答順序に並べ、まとめたものです。インターネットリサーチ、電話調査や顧客満足度調査でも、アンケートに関わる全てのプロジェクトで調査票は作成されます。
アンケートは調査票の良し悪しによって結果が大きく変わると言われており、データの質を上げるためにも調査票は熟考した上で実施する必要があり、リサーチャーは日夜調査票や調査モデルの改善に取り組んでいます。
調査票(質問票)を作成する前の企画・設計
調査の目的を見極める
調査を実施するプロセスには、いくつかのステップがあります。最初のステップとして、まず調査目的を定義することです。「誰が、何を、いつ、どこで、なぜ、どのようにして」を考えるところから始めましょう。そうすることで、ターゲットとする回答者、収集したい情報、サンプルを抽出したい国、そしてその情報がいかに後続するタスクを改善してくれるか、ということを明確化することができます。最適な目的を定めることで最適なアンケート設計が可能となり、結果的に最適なデータ収集ソースへと繋がります。
調査方法を定める
近年では、様々な方法を用いてプロジェクトをローンチすることが可能です。技術の進歩に伴い、インターネットリサーチ(Web調査)は費用対効果が高く、かかる時間も少なくて済むソリューションとなっています。オンラインで調査を実施するにあたっては、設問の提示方法や、回答者に対する意図しない印象操作に注意を払う必要があります。クリーンなテンプレート、そしてユーザーフレンドリーなプラットフォームを常に意識しましょう。
調査票(質問票)を作る4つのポイント
調査票(質問票)は簡潔かつ論理的に
アンケートを実施するリサーチャー自身は、全ての設問を正確に理解しているでしょう。しかし、回答者はそうとも限りません。
調査の目的へとより近づくために、各設問がそれぞれ重要な役割を果たさなければなりません。そのためには、全ての設問が的確かつ簡潔で、順序よく並んでいる必要があります。論理的なフローを用いることで、回答者はアンケートを的確に理解し、ひいては、より質の高いデータの提供に貢献してくれます。
さらに、回答者は長いアンケートには回答しない傾向があるため、アンケートを設計する過程においてLOI(length of interview=インタビューの長さ)を積極的に検討すべきです。そうすることで調査離脱率が改善され、必要な回答数を集めるための期間を短くすることができます。
適切な設問タイプを用いる
アンケートに縛りをかけ過ぎるのは理想的ではありません。自由回答形式と選択回答形式を上手く使い分けましょう。
自由回答形式では回答者が自分の言葉で回答することが求められ、選択回答形式では通常、単一選択もしくは複数選択の方式で設問が提示されます。
自由回答形式では、明確かつ簡潔な設問を心掛けます。回答テンプレートを用意して、回答者が自分の言葉で答える手助けをするのも良いでしょう。自由回答設問では非常に幅広い回答を得ることができる反面、他の設問タイプに比べて回答内容を制御できないため、データ分析に時間を要することがあります。
自由回答式の質問:「好きな日本製の化粧品ブランドを3つ記入してください」

一方で、限られた選択肢の中から選ぶ選択回答形式の設問は、回答者間における一貫性を保持してくれます。アンケートがオンラインで実施される場合は特にデータ分析に要する時間の大幅な節約が可能となりますし、データの数値化には有効な手法と言えます。
選択回答式の質問:「好きな日本製の化粧品ブランドを下記より3つ選んでください」

誘導的な質問に注意し回答バイアスを防止
評価尺度や意識調査などの設問を選択回答形式で提示する際には、バイアスがかからない手法で実施することも成功への秘訣の一つです。
あまりに情報の多い質問文は回答者の思考プロセスに影響を与え、結果として誤ったフィードバックデータを生んでしまいます。また、選択肢においても回答者は無意識的に用意されている選択肢の中から回答を探してしまうことがあります。
以下が具体例です。
誘導的な設問例:「マクドナルドは、2019年最も評価の高いファストフードチェーンとして選ばれました。下記のうち、あなたが最も好きなファストフードチェーンはどれですか?」

フラットな状態の設問例:「下記のうち、あなたが最も好きなファストフードチェーンはどれですか?」

回答者にとって分かりやすい言葉を使う
ハーバード大学でアンケート調査を専門に研究しているチェイス・ハリソン氏(2017)によると、理想的な設問は下記の三つの要件を満たしています。
- 調査目的を測定している
- その他の概念は測定していない
- 全ての回答者にとって同じ意味を成している
一つ目に、設問の中で専門用語や複雑な文章を用いるのは避けましょう。設問は簡潔で、誰にでも容易に理解できる内容である必要があります。
二つ目に、全ての回答者が有効な回答を出せるよう、適切な形で基準フレームを補足しましょう。例えば「収入はいくらですか?」という設問に対して、所得税控除前の額を述べる回答者もいれば、控除後の額を述べる回答者もいます。精確なデータを得るためには、「前月の個人収入の、所得税控除前の額はいくらですか?」と尋ねるべきです。また、アンケートが複数の国において実施される場合、一般的に金額にまつわる設問には、各国の通貨に対応したバージョンをそれぞれ用意しましょう。
三つ目に、全ての選択肢が差別化されており、重複しておらず、本当に唯一無二であるかどうかに注意を払いましょう。とくに、設問を別言語に翻訳する際、元の言語では設問の概念や言葉に違いがあるように見えても、翻訳する言語によっては同様の意味となってしまうことがあります。考えうる選択肢の全てが唯一無二の表現で提示されていることを確認しましょう。
最後に、調査の中で似通った設問が複数存在する場合は、回答の選択肢をランダム化することも重要です。これはしばしばソフトウェアで自動的に行うことが可能であり、データの有効性を担保してくれます。
調査票(質問票)を確認するソフトローンチ
質問内容を事前テストする
アンケートを世界に向けて公開にする前に、ソフトローンチ(確認のため事前に少ないサンプルを回収)を実施し、データをテストすることが重要です。そうすることで、調査票の欠陥を早い段階で検出し、修正を行う時間的な余裕が生まれます。オンラインで調査を行う場合、ソフトローンチの実施は容易です。データのサンプリングや確認などを含む全プロセスを1時間以内に完了できるため、例え欠陥が検出されても、本ローンチに深刻な遅延をもたらすことはありません。
Koeeruで使用しているアンケートツール
インターネットリサーチ(Web調査)を実施する際、全ての設問を完璧に設計した後のステップは、そのアンケートをオンラインフォームへと変換する最良のプラットフォームを見つけることです。Koeeruが提供するツールを使用すると、洗練されたロジックや複雑な条件を有するアンケートを多言語で作成することができる他、カスタマイズされたデータレポートの取得も可能です。さらに、集積されるデータをリアルタイムで確認したり、様々なダッシュボードを使用してデータを可視化したりすることも可能です。わからないことがある場合は、サポートチームが問題解決のお手伝いをさせていただきます。
グローバル調査についてご不明な点等ございましたら、下記よりお気軽にお問合せください。
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