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海外調査を成功させるためのアンケートの作り方と作成例|Koeeru Academy
Koeeruアカデミーでは、Koeeruが特化する海外調査に関する基本的な情報や海外調査をする上でのお役立ち情報を定期的に更新していきます。
記念すべき第1回は、海外調査を行う上で最も重要なアンケート質問の作り方と考え方について詳しく説明していきます。
アンケート調査の準備の中で一番重要で悩むところがアンケート質問の設計です。海外調査で消費者から聞き出したいことをアンケート質問に反映させることは一見簡単そうに見えますが、経験がないと難しいことも多いでしょう。今回は作成例を入れながら、アンケート質問の作り方を順番に説明していきたいと思います。今後、海外調査を始める人、やってみて上手く行かなかった人はぜひ参考にしてみてください。
目次
- アンケートのテーマを設定する
- 何を目的にしたアンケートかを明確にする
- 回答回収数、調査対象国、対象者、割付条件を決める
- 質問形式を決めて、質問文を作成する
- いろいろな質問形式を知る
- 翻訳することを意識した質問文と選択肢を用意
- ロジックを設定し、設問表を完成させる
- ロジックを理解する
- 自分で調査をやってみて不自然な点はないかチェックする
1. アンケートのテーマを設定する
何を目的としたアンケートかを明確にする
まず何を調べるためのアンケート調査なのかをはっきりとさせましょう。目的が明確でないとざっくりとした調査になりがちで、あまりコアな情報は得られません。質問を設定する上で目的から逆算して考えられるようにするために重要な第一ステップです。
■例目的:欧米主要都市と日本でどのような人が何を目的に自社の商品を購入しているのかを比較したい
回答回収数、調査対象国、対象者、割付条件を決める
調査を実施する国と対象者を決めます。目的によって決まってきます。サンプル数は多ければデータの信憑性は増しますがその分調査費用は高くなります。また、調査対象者を絞る条件も多くなればなるほど回答者の希少性が高くなってしまうので調査費用は高くなります。これらは目的と予算をすり合わせをして、決めなければいけません。
■例回答数:各国100サンプルずつ調査対象国:日本、ドイツ、アメリカ調査対象者:自社の商品を購入したことがある人割付条件:男女均等割り付け
2. 質問形式を決めて、質問文を作成する
いろいろな質問形式を知る
アンケート質問を考える上で、まずどのような回答形式で質問をするのか決める必要があります。下記が主要な質問形式です。
■単数回答(Single Answer)
「他に選択の余地がないもの(年代や性別など)」を聞くときや「一番当てはまるもの」などを聞くときに使います。
以下の場合は一つの回答しか選ぶことができないため単数回答設問に設定しています。

■複数選択(Multiple Answer)
他にいろいろな回答の可能性があるものについて聞くときに使います。「したことがあるもの全て」「当てはまるもの三つまで」など。
以下の設問は一か所とは限らないため、複数選択設問に設定しています。

■マトリクス(単数選択)
複数の項目に関して同じ選択肢で答えてもらう場合に使います。「どのくらい満足しているか」「それぞれ当てはまるものをお答えください」などの質問に主に使いますが、内容によっては複数選択のマトリクスにすることもあります。
以下の設問はそれぞれの度合いを聞くので、マトリクス設問にしています。

■自由回答(Free Answer)
自由に回答してほしいときに使います。インターネット調査では自由回答は回答率を下げる場合があり、他の質問形式よりも集計が大変な面もあるので、使い方には注意が必要です。

翻訳することを意識した質問文と選択肢を用意する
質問形式を知ったら、質問文と選択肢を用意します。国内調査は日本語で作成し、日本語での回答のためあまり気にせずに質問設計ができますが、海外調査では翻訳やタブーを意識した質問を考える必要があります。以下に主な注意点を挙げてみました。
■日本語から英語の直訳は避ける日本語は基本的に主語がないので英語では必ず主語が必要なので、日本語から訳す場合は注意が必要です。また、日本語だと一つの文を長くして情報を詰めることができますが、英語だとそれが難しいのでGoogle翻訳などのツールに頼ることはオススメできません。
■形容詞や擬態語に注意する形容詞の翻訳は1番問題が起きやすいと言われています。言語によって形容詞は異なり「サラサラ」や「ぷるぷる」などの日本語独特の表現は翻訳時に注意が必要です!
■選択肢は現地の事情を考慮したものを用意する日本でポピュラーなものが現地では全く知られていないことも多々あります。しっかりと現地の事情をリサーチした上で選択肢を用意する必要があります。
■多民族国家の場合は民族背景を聞く国内調査では気にもしない点ですが、海外調査では多民族国家の場合必ず民族背景を聞くことが必要です。これは、米国のアジア人と白人では大幅にニーズが異なるためです。
3. ロジックを設定し、設問表を完成させる
ロジックを理解する
アンケート質問を設計する上で複雑なのがロジックを見極めることです。ロジックとは「論理」という意味ですが、調査では矛盾のない質問順序や、回答対象にしなければなりません。
■例職業を聞いたあとに、職種も聞きたい場合
Q1 職業の選択肢 学生/会社員/自営業/専門職/公務員/主婦/無職 など
↓↓↓
Q2 職種の選択肢 流通関係/金融関係/IT/食品関係/輸送関係/教育関係/エンターテイメント関係 など
Q1の質問のあとに全員に職種を聞く質問をしてしまうと、学生や主婦、無職の方は困ってしまいますよね。このような質問があると質問に該当しない回答者は調査を離脱してしまうので回答率が下がってしまいます。
なので上記の三つを回答した人は次の設問の回答対象から除外しなければいけません。これがロジックを組むという作業になります。
自分で調査をやってみて不自然な点はないかチェックする
ロジックを確認する上で効果的なのは自分で調査を最初からやってみて何回かシミュレーションをすることです。何か不自然な点があれば大抵なことは気づくことができます。
最後に
このように海外調査をするには国内調査とはちょっとした違いがあります。上記のポイントを意識してアンケート質問を作成することで海外調査でもより有益なデータを取ることができると思います。
Koeeruは海外調査の経験豊富なリサーチャーが、お客様の調査要望に対して適切なアドバイスやサポートをしております。わからないこと、聞いてみたいことなど何でもお答えいたします。お気軽にお問い合わせくださいませ。
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