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CEOブログ

システム受託開発と通訳「生かすも殺すも⚪︎⚪︎次第」

10月 2, 2023

※本記事は2020年10月作成の再掲です。Koeeruの前身となるSyno Japan社が作成しています。

「あんた通訳だったら、とやかく言わず黙って俺が言ったことを訳してよ。」

これは私が昔、通訳の仕事をしていたときに本当に言われた一言です。当時、時間を見つけては、大学院で学んだ通訳の知識を実践に生かすため、通訳の仕事を単発で受けている時期がありました。某高級自動車メーカーのモーターショーや中小企業を対象としたビジネスマッチングイベントなど、様々な業界や専門分野に関わることで、普段のスタートアップ企業での業務では得ることができない専門知識や業界の裏情報まで、通訳士というフィルターを通じて色々学ぶことができる良い機会でもありました。

通訳は、ある言語からほかの言語に変換し、両者のコミュニケーションを円滑に進めるという任務があり、共通の言語を持たない両者が、通訳という存在を意識せず、まるで二人で会話しているような環境を作り出す、「究極の黒子」に徹することが求められます。

第二言語を母国語と同等レベルまで限りなく近づける言語能力はもちろんのこと、話し方の癖や意図を理解し、その場でわかりやすく、かつ正確に伝えるという高いコミュニケーション能力が求められます。通訳という仕事は、人と人とのコミュニケーションに正面から向き合い、限られた時間でその時の最大の力を発揮しなくてはならず、この仕事を通じて、言語や専門知識をブラッシュアップできたことよりも、コミュニケーション力や機転が求められる瞬発力を鍛えることができたことが一番の成果であり、現在のスタートアップ経営にもつながっていると思います。

「通訳は、単なる機械翻訳ではない。」と当たり前のように聞こえますが、実際の通訳の現場では、冒頭のセリフのような、あとから考えると笑ってしまうような場面が多くみられます。私が通訳の師匠と慕う米原真理氏の著書「不実な美女か貞淑な醜女(ブス)か」にも色々とネタが紹介されているので、もしご興味あればぜひ一読ください。

反対に、通訳としてはありがたいクライアント、つまり「訳しやすい人」という方も多くいることも事実です。その方に共通していることを改めて考えてみると、

  • 回りくどい、あるいは抽象的な話し方をせず、ポイントを得た話し方をする。(要は、論理的)
  • 対話中に独り言を言わない。(独り言も、相手にとっては気になる発言であり、通訳としては訳の対象となる)
  • 抑揚をつけて、聞き取りやすく話す。(感情がある)
  • 文脈ごとに話を分け、一つの話が長くなりすぎない。
  • 専門的な話になる場合は特に、事前に内容や目的などを通訳に説明する時間を割く。
  • 通訳の役割や業務範囲を理解している。(中には、交渉までを依頼してくる人もいた)

など、延々とリストが続きそうですが、要はまとめると、「コミュニケーション能力が高く」、かつ「通訳という業務を正しく理解している人」であり、自分の目的を達成するために、通訳の力が一番発揮できる環境を作り、自身の武器として有効活用してくれる人。これが、通訳士にとって「訳しやすい人」となります。

さて前置きがかなり長くなりましたが、アンケートシステムの受託開発を提供するITスタートアップとしての立場からも同じことを考えることができます。

先日、とあるアンケートシステムを受託開発する案件のキックオフミーティングで、システム要件や今後の流れを一通り説明し終わった後に、クライアント様がこうお話されていました。

「システムには全然強くないので、直接システム会社の方とお話できるとすごく安心します。」

今回の案件は、入札案件でその際に提示された仕様書に沿って企画提案をさせていただきました。採択頂いた後、直接クライアント様とお話して、仕様書以外のニースや意図など色々見えてくる部分があり、実際に使用されるユーザと直接お話できることは、両者の認識を合わせて、クライアント様が最低必要とする要件を満たすシステムの開発プラスαを実現するために重要だと改めて感じることができました。

システム会社とクライアント様の理想の関係は、通訳と同じだと思います。仕様書に書かれた要件を、一方的に読み取り開発を進めていくのではなく、両者がコミュニケーションを意識して、仕様書に当初なかったが、作業を進めていくうえで必要と判断する機能や新しい利用目的、利用ユーザなどは柔軟に対応していく、通訳が日々扱うコミュニケーションのような、臨場感あるその場の最適な力を発揮できる関係であるべきです。そこで、システム会社、特に弊社のような、自社ですでに開発すしているアンケートシステムの経験やノウハウをベースに、柔軟かつアジャイルな受託開発を提供するスタートアップ企業として、「開発しやすいクライアント」は以下と考えます。

  • 具体的に最低限必要な要件を認識し、それを正確に、かつロジカルに伝えてくれる人(テクニカルな知識が必ずしも必要ではない)
  • 担当者目線だけではなく、なるべく多くの関係者からのニーズも収集し、まとめてくれる。
  • アンケートシステムの専門家ではないが、疑問やわからないことがあったら、物応じせず質問してくれる。
  • 当初の予定になかったけど、開発する上で追加の機能や要件が出てきた場合は、まずは相談してくれる。
  • システム会社の立場では見えてこない、現場のニーズや専門知識を適宜共有してくれる。
  • 既存の環境に満足せず、自身や会社のために理想の姿を熱く語ってくれる人。
  • スタートアップ企業というビジネスモデルを理解してくれる人。

特に最後の2つは弊社にとっては重要であると感じます。既存には満足せず、理想の形を描くことができるアーリーアダプターの方とお仕事できることが、「既存を見直し、越境を」を企業理念として掲げる弊社の力を最大限発揮できるクライアント様であると感じます。要は、ITスタートアップ企業の力が一番発揮できる環境を作り、自身の武器として有効活用してくれる人。これが、ITスタートアップにとって「開発しやすい人」となります。ぜひ、通常のシステム提供以外の受託開発案件に関しても、ぜひ理想から逆算した最初の一歩をお話しできる関係を構築できればと思います。

そう、「システム受託開発と通訳。生かすも、殺すも、それはあなた次第」

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