
Koeeru Academy
北欧の国リトアニアでスタートアップが急増する理由とは?
※2020年10月の記事を再掲しています。
リトアニアという国をご存知でしょうか?リトアニアは北欧、バルト三国の中で最も南に位置する国で、面積は6.5万平方キロメートルと北海道よりも狭く、およそ281万人の人口を抱えています。(2018年1月:リトアニア統計局より)言語はリトアニア語がありますが、国民の多くが英語を話すことができ、約半数の国民が最低でも二カ国語を習得しているといいます。(Startup Lithuaniaより)
近年リトアニアは、政府の手厚いサポートや支援団体が充実していることから、スタートアップを始めるのに適した国として世界に認知され始めています。実は弊社Koeeruの前身となるSyno Japanも、もともとリトアニアで生まれたスタートアップでした。本記事では、Koeeruの原点であるリトアニアでなぜスタートアップが生まれるのか、また最新のリトアニアスタートアップ事情についてご紹介します。
目次
はじめに リトアニアの基礎情報
1. リトアニアのスタートアップを取り巻く環境
- スタートアップ・リトアニア
- ブリニュス・テック・パーク
- スタートアップ・ビザ
2. リトアニアの注目スタートアップ3選
- Vinted
- Oberlo
- Trafi
終わりに
- Synoの概要とプロダクト紹介
リトアニアのスタートアップを取り巻く環境

(バルト三国のスタートアップにより創出された価値 引用元: Dealroom.co)
上記のグラフからも分かる通り、バルト三国のスタートアップが生み出す価値は年々高くなっています。Skypeなど世界的に有名なスタートアップを輩出していることで知られるエストニアを筆頭に、リトアニア、ラトビアの二国も、スタートアップ創出への動きが盛んです。
そんなバルト三国の中でも、近年リトアニアのスタートアップが勢いを増しています。リトアニアはバルト三国の中でも成長率が著しく、2013年から2018年の間でVCからの投資が135%も増加しています。(Dealroom.coより)
この背景には、リトアニアが国を挙げてスタートアップ支援の環境作りに力を入れていることがあります。リトアニアならではの取り組みとして、スタートアップ・リトアニアなどの団体による支援や、首都ブリニュスにできたテック・パーク、そしてスタートアップビザの存在が挙げられます。
スタートアップ・リトアニア
スタートアップ・リトアニアは、リトアニアのスタートアップエコシステム創出を促進するための活動を行う団体です。主にハッカソンやワークショップなどスタートアップ関連のイベント開催や、ネットワーク機会の提供、スタートアップ関連ニュースやスタートアップデータベースの公開、ニュースレターの配信、求人市場の提供、そして将来の起業家の育成を行うなど、様々な支援を提供しています。
ホームページ上でイベントの情報やニュースを提供するだけに留まらず、スタートアップを始めるためのノウハウを動画でシェアしたり、無料のeラーニングを提供するなど、手厚い支援を行っており、リトアニアのスタートアップ創出に貢献しています。
ブリニュス・テック・パーク

ブリニュス・テック・パークはリトアニアの首都ブリニュスにある、バルト三国や北欧の国々の中でも最も大きなスタートアップ用の施設です。大学のキャンパスのような広大な敷地のなかに、コワーキングスペースや会議室、レストランなどがあります。現在、スタートアップ、IT企業、アクセラレーターやベンチャーキャピタルの従業員約700人以上が在籍しているとのことです。
敷地内には24時間仕事ができるオフィスやカンファレンス用の施設、カフェ、シャワーなどが設置されています。施設内にオフィスを構える他のスタートアップとの交流が得られるため、仕事のコラボレーションやイノベーションが生まれる可能性もあります。スタートアップ企業が仕事をするためには絶好の環境と言えるでしょう。
スタートアップ・ビザ
世界中の熱意を持った起業家がリトアニアでスタートアップを興すのを支援するために、リトアニア政府はEU圏外に居住する人にもスタートアップ・ビザを発行しています。
専門家によるビジネスアイディアの審査を通過した場合、申請した起業家とその家族は一時滞在許可を申請できます。その後も手続きを行えば、最長で2年間スタートアップビザでリトアニアに滞在することが可能です。
これらの他にも、リトアニア銀行の指導と監督の元、スタートアップが銀行の持つリソースを生かしながら事業を行うサンドボックス制度など、リトアニアにはスタートアップを始めるにあたり魅力的な制度が整っています。
リトアニアの注目スタートアップ3選
次に、リトアニアで注目されるスタートアップを3社ご紹介します。
Vinted
Vintedは中古の服やアクセサリー、子供服等を顧客同士が売買し合うオンラインマーケットプレイスを提供しています。近年、ファストファッション従事者の賃金、労働環境の問題や、環境への影響が懸念されており、中古の服やアクセサリーを購入することが見直されています。このような背景から、主にヨーロッパの若者を中心にVintedのユーザーが増加しているそうです。
Vintedは2019年に1億2800万ユーロ(日本円にして128億円以上)資金調達を行い、10億ユーロの価値があると評価されたことで、リトアニア発のユニコーン企業となりました。現在ブリニュス、ベルリン、プラハにオフィスを構え、ヨーロッパ諸国やアメリカなど12か国に市場を展開しています。
Oberlo
Oberloは、Eコマースストアオーナーのためのドロップシッピングソリューションです。ドロップシッピングとは、卸売業者から商品が直接送られる仕組みで、ストアオーナーが在庫を抱えずに販売が行えることで注目されています。
Oberloは2015年に創設され、わずか2年後の2017年にカナダ発のeコマースプラットフォームshopifyに買収されました。過去にはブリニュス・テック・パークにオフィスを構えていた時期もあり、リトアニアのスタートアップエコシステムを活用して成功した一例であると言えるでしょう。
Trafi
2007年に設立されたTrafiは、世界中のさまざまな都市や企業と連携し、交通機関やシェアリングサービスを統合したMaaS(Mobility-as-a-Service)を提供しています。TrafiのMaaSプラットフォームは、ベルリンでは世界最大のMaaSであるJelbi、スイスでは最も包括的な全国規模のMaaSであるyumuvを運営している他、Google、Apple、Lyft、Gojekが開発したモビリティ製品の強化にも使用されています。
終わりに
リトアニアの国を挙げてのスタートアップ創出の動きは目覚しく、今後も世界で活躍するスタートアップを輩出していくことでしょう。日本人にはあまり馴染みがないリトアニアですが、本記事を読んで少しでもご興味を持っていただけましたら幸いです。
Koeeruの前身となる「Syno」の概要とプロダクト紹介
リトアニア発ベンチャーであるSyno Japanは、独自に開発するSaaSシステムを活用し、顧客から同意を得たゼロパーティデータを広告主及び媒体社が主体的かつ効率的に収集する仕組みを構築することができるプラットフォームソリューションを提供しています。
150か国1億人以上のグローバルパネルネットワークを活用し、
・越境ECを行う際の現地調査としてのグローバルアンケートの作成、収集、分析
・カスタマーエクスペリエンスのアンケート作成、収集、分析
・ポストcookie時代のデジタルマーケティング支援
など、企業の課題点に沿った多様なご要望に合わせてサービスを提供しております。そして弊社Koeeruでも上記サービスを引き続き展開しております。
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