
CEOブログ
ITスタートアップの経営者目線で考える、リモートワークを勝ち取るための5つのポイント
※本記事は2020年12月作成の再掲です。Koeeruの前身となるSyno Japan社が作成しています。
新型コロナウィルス感染拡大の第三波が猛威を振るう中、(何らかの理由により)これまでのリモートワークを緩和、あるいは解除する決断を下した経営者にとっては、また判断が難しい時期に差し掛かっているのかもしれない。
当社は早期の段階で判断を下し、今年の2月から完全に社員全員をフルリモートに切り替えた。その後、会社を北鎌倉のオフィスから鎌倉のオフィス引っ越しの準備を進め、リノベーションが終了した8月より段階的にリモートを緩和する体制に切り替えてきているのが現状である。そんな中来年の成長戦略を考えると同時に、この働き方を続けるのか、それとも当初のルール通り、リモートワークをコロナ下の特別な体制とし、1月から全員リモートを禁止にするのか。今、まさに社員と経営陣で話し合いを進めている。というか、もっと厳密にいうと、リモート反対派の経営者(私)とリモート推進派の社員との間で意見が分かれている。といった方が正確だ。改めて振り返ると、自分もスタートアップ企業で働いていた社員の時は、自分勝手に自分の意見を主張して、上司や社長を困らせていたなと反省すると同時に、経営者の立場になって、改めて「経営者の目線」を考える良い機会になっているのも事実だ。そんな中で、今まさに社長のリモート反対を論破しようとしている社員に向けて、「Syno Japanでリモートワークを勝ち取るための、5つのポイント」を紹介したい。最初は、毎週の定例で話そうかと思ったけど、周りの経営者仲間も含めて、この問題に関して興味がある人も多いため、ブログでまとめてみることにした。まったくの主観であり、北欧発古都ITスタートアップだから当てはまる点もあるかもしれないが、少なくともSyno Japanの社員にはダイレクトに関係するポイントであることは間違いない。
「Syno Japanでリモートワークを勝ち取るための、5つのポイント」
①関連性の高い客観的なロジックで主張すること
「リモートワークがしたい」という思う理由は人それぞれだろう。「家の方が集中できるし、生産性が高い。通勤時間がもったいない。感染するリスクが心配だ。会社に通勤するなんて、古い考え方だ。●×社は、With/Afterコロナでもリモートを引き続き継続するから。家族との時間を大切にしたい。etc.」コロナを通じて、このリモート期間中にこれまでの働き方や自身を見つめなおす人、価値観が大きく変わった人も多いだろう。さて、これらは一見納得できそうな主張だが、ロジカルとはいいがたい。なぜなら、客観的根拠に欠けているからだ。では、「家の方が集中できる、生産性が高いこと」を客観的な根拠で主張するためにどうしたらいいのだろうか?ネット上で、「リモートで、生産性が上がっているデータ」を紹介する記事(例えば、こういうの)をもって主張することもできるかもしれない。ただし、それでは弱い。なぜなら、関連性がないからだ。このデータが、Syno Japanという会社に当てはまる根拠がない。それでは、一番関連性が高いデータとは?それは、実際のSynoの仕事で、リモートと職場で行った仕事を比較することである。例えば、「自宅の場合、集中できるので、ブログ記事の作成が、これまでの職場でやっていた1本と比べて、2本書くことができます」といった具合だ。関連性のあるロジックがない主張は、人は動かせない。
②チームとして主張すること
前述の通り、リモートワークをしたい理由は人ぞれぞれだが、同時に主張する気持ちの温度差も人それぞれ。リモートワークを断固主張する人もいれば、あればいい程度の人もいる。では、「断固主張する人はフルリモートで、あればいい程度の人には週に1-2回でいいんじゃないか。」と思う人もいるかもしれない。しかし、会社のルールである以上そういった、行き当たりばったりなルールは通用しない。就業時間や福利厚生と同様に、リモートワークやビジネスでの服装、しいてはオフィスの掃除etc 会社としてのルールである以上、特別な対応は許容されない。よって、リモートワークというこれまでにない働き方を主張するのであれば、関係するチームの意見をまとめて、主張する必要がある。そのためには、チーム全員が納得いく主張に至るまでディスカッションする必要がある。
③相手のロジックを考えて主張すること
関連性の高い客観性なロジックで主張すること、と同じくらい重要なのが、相手のロジックを考えることだ。相手のロジック、例えばこの場合は経営者である私が会社のルールを考える上で使用するロジックである。「家の方が集中できる」というロジックで客観的な証拠と共に提示された場合を考えてみよう。確かに、経営者として社員の生産性が上がること、集中力が増すことはありがたいことである。しかし、それはあくまで一つの論が証明されただけであって、それだけでは足りない。なぜなら、経営者は社員とは違うロジックを持っているからだ。例えば、リモートワークによって、明らかにコミュニケーション不足の問題が顕在化している。一人しかオフィスにいないので、ランチにいけない。etc よって、リモートワークが経営者、つまり会社にとってのマイナス面を考えなければならないのだ。
経営者ではないからわからないかもしれない。ただ、経営者目線で考えることはできるはずだ。つまり、主張する相手の気持ちになって考えてみるということだ。営業でも、マーケティングでも、カスタマーサクセスでも、考え方は同じ。相手が何を求めているのか?何を基準に評価しているのか?それを考えないサービスは、ただの一人よがりな押し付けにすぎない。それでは、人の心は動かない。
④パッションを持って主張すること
「関連性の高いロジックを考えて、チームとしての主張とまとめて、相手のロジックも考えて・・」誰かを相手に、自分の意見を主張しルールを変えることは決して簡単なことではない。正直疲れる作業である。しかし、それは主張する側に限ったことではなく、その主張に対して判断を下す側も同じだ。ただし、一つ忘れていないこと。それは経営者も社員と同様に人であるということだ。会社の経営者としての立場で様々な観点から判断を下さなくてはいけない反面、一人の人間として主張の裏にある想い、パッションに心は動く。一方で、自分たちの主張を考えること、まとめること、主張すること、その一つ一つの行為にパッションが感じられない場合、その逆である。一切、心は動かない。
⑤ファクト(事実)で主張すること
前述のポイントを踏まえ、経営者の目の前に一つの主張が提示される。オフィスの気温も上がりそうな、チーム全員の熱いパッションも感じられる。
「これまでのリモートワークが来年からも継続する奇跡的な瞬間が、今ここに!」
と言いたいところだが、残念ながらその可能性はゼロである。来年からBeforeコロナのルールである「リモートワーク禁止」に戻るだろう。(注:オフィスでの衛生対策や、コロナの現状を考慮することは前提条件である。)その理由はシンプルだ。
Beforeコロナの「リモート禁止」というルールを構築したときのロジックが、この約9か月のコロナ下のリモートワークで証明されてしまったからである。=ファクト化
この事実(ファクト)は、短期間で集めたロジックやその場のパッションでは太刀打ちできるものではない。じゃあ、結局は何しても無理じゃないか?と思う人もいるかもしれない。しかし、それは間違っている。これから、本当にリモートワークが自分やチームにとって必要、かつ会社にとってプラスになると心から思うのであれば、これからそれを証明するための事実(ファクト)を構築すればいいのだ。
会社や社会のルールは、そう簡単には変わらない。でも、100%不可能ではない。
それは、従来の非効率な体制を見直し、変革することを後押しする、新型コロナウィルスや映画「僕らの7日間戦争」が教えてくれたことに違いない。
「既存を問い直す、越境を」を掲げるSyno Japanの若さ溢れる、多国籍の諸君(aka 「僕らの7日間戦争」と言われても訳が分からない層)。
さあ、どうする?
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