CEOブログ
【CEOブログ】集まらない顧客の声(VOC)。。。VOC経営の苦悩と喜び
「VOC(顧客の声)を制する者は、マーケティングを制す」
…と、言えたらかっこいいんですが、現実はそんなに甘くない。
VOCを集めて約20年、VOCシステムの経営者となって約10年、私は何度となく「データが集まらない地獄」を経験してきた。たくさんの施策を試し、たくさんの失敗を重ね、時には「どうして誰もアンケートに答えてくれないのか」と夜な夜な天井を見つめる日も。
京都のホテル、鎌倉駅ロータリー広場、空港のコンビニ…。どこにでも出没し、現場でVOC収集のヒントを探る私。しかし、結局気づいたのは、「仕組み」ではなく、VOCを提供する人、集める人、つまりは「人」が動かなければVOCは生まれないという、シンプルな事実だった。
VOCが集まらない理由トップ3
- タッチポイント問題 – 「アンケートにご協力ください」と書かれた紙が、店の隅っこで誰にも見られずにひっそりと佇んでいる。これじゃ、お客さんの目にすら留まらない。
- 回答モチベーション問題 – 「あなたの意見を聞かせてください!」と言われても、質問が長すぎたり、個人情報をたくさん聞かれたりしたら誰も答えたくない。
- 現場との乖離問題 – 本社が「とりあえずアンケートやれ」と言っても、現場は「これ、なんの役に立つんですか?」となる。そんな暇ないですよ、現場は。
この3つを乗り越えなければ、VOC収集なんて夢のまた夢。そこで、Koeeruではタッチポイントを増やし、共創プロジェクトを実施し、回答者へのインセンティブを設け、現場でデータを活用できるダッシュボードを導入してきた。
VOCを集めるためにKoeeruが行った取り組み
① タッチポイントを増やし、共創のプロジェクトを実施
VOC収集の基本は「場所」。VOCの入り口を増やすことで、アンケートをただ置いておくのではなく、お客様が自然に答えられるようにすることが重要だった。
- 自社のチャネル強化 – 店舗、アプリ、ECサイト、イベントなど、今まではバラバラだった接点を統合。お客様が「どこでも声を届けられる」環境を作る。
- 他社との連携 – 例えば、小売店と協力し、店舗で商品購入者から直接VOCを収集する仕組みを導入。結果、普段は拾えないリアルな声をキャッチ。
- 地域との共創 – 自治体やDMOと協力し、地域全体で訪日観光客の声を集める取り組み。これで「観光地のリアルなニーズ」が丸裸に。
② 回答者のモチベーションを上げるインセンティブを設計
「アンケートに答えてください」だけでは、お客さんの気持ちは動かない。そこで、回答者が「答えてみたくなる」と思うインセンティブを工夫した。
- 金銭的インセンティブ – クーポン、ポイント還元、プレゼントなど、「答えることで何か得られる」仕組み。しかも、その場で当たる仕組みが重要。
- 非金銭的インセンティブ – 特別なガイド情報、旅行者限定のお得なスポット紹介、特典画像など、「ここだけしかもらえない」と思える特典を用意。
- 社会的インセンティブ(Survey for Good) – 集まったVOCの数に応じて、地域のチャリティ事業に寄付します。手軽に社会貢献で、普段集まらない属性の回答&質の高い回答を収集。
③ 現場のダッシュボード導入で、VOCデータを「活きた情報」に
VOCを集めても、それが放置されてしまったら意味がない。そこで、現場が「このデータ、面白い!」と思えるようなダッシュボードを導入した。
- 直感的に理解できるデータ可視化 – 「現場のお客様が実際にこんなことを考えていた!」と、スタッフが即座に理解できるようにする。
- 改善アクションにつなげる設計 – VOCを見たら、すぐに「だから、このサービスを変えよう!」と実行に移せるように。
- 口コミとの差別化 – VOCは単なる愚痴ではなく、「ちゃんと活用するデータ」であることを伝え、スタッフのモチベーションを上げる。
結局、VOCを提供する人、つまり顧客を動かすのは、「人」だった
ここまで色んな仕組みを試してきた。でも、最終的にVOCを生むのは、人の熱意とコミュニケーションだった。
① 京都の飲食店店主:スタッフの一声がVOCを生む
「なんで、うちだけいっぱい集まるか?デザートを出すときに、直接お願いすればいいんですよ」と笑う店主。結果、通常のアンケートの数倍のVOCが集まった。
② タンザニア農家:識字能力よりも伝え合う力
「私は字が読めないんです」と言いながら、バイヤーから誰よりも多くの市場情報を集め、他の農家グループに口頭で伝えていた。その情報は、データ以上に「人の想い」が詰まっていた。
③ 美術館カフェの若者:言葉を覚え、つなげる力
「日本を好きになる、最初の接点になってほしい」という想いが、自然と複数の外国語を覚え、お客様の声を集め、周りに共有する自発的なサイクルを作っていった。
VOCを提供したくなる、VOCを集めたくなる世界へ
タッチポイントを増やし、共創プロジェクトを推進し、回答者のモチベーションを高め、現場でデータを活用できるようにする。そうすることで、VOCは単なる情報ではなく、企業とお客様がともに価値を創るツールになる。
「VOCを提供したくなる」
「VOCを集めたくなる」
そんな「人」を動かす環境を作ることが、人間らしさが求められるVOCマーケティングの本質なのではないだろうか?

地元鎌倉での地域共創VOCプロジェクトも2年目に差し掛かる。今年は、宿泊施設以外の飲食や交通機関など新たなタッチポイントを増やし、日帰り観光客の声も収集する。
「草児さん、このカフェすごいですよ!たった1日で100人以上の観光客の声を集めました!」
興奮気味に喜びを報告してくれる社員の声に、VOC経営の喜びを改めて実感する。
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