CEOブログ
【CEOブログ】東北の軌跡、インバウンドの可能性を改めて感じる:第10回東北観光推進機構通常総会に参加して
皆さん、こんにちは。Koeeruの長野です。
先日、一般社団法人東北観光推進機構(以下、東観推)の「第10回通常総会」に参加してまいりました。今回の総会では、2026年度からスタートする「第六期中間計画」を中心に、東北一体となった観光施策の概要を学ぶ、非常に濃密で有意義な時間を過ごすことができました。
データから見えてきた東北観光の現在地、そして私たちが共に挑むこれからのデジタル・観光DXの未来について、ブログにまとめたいと思います。
① 東北インバウンドの驚異的な回復と、見えてきた「課題とチャンス」
総会で共有されたデータの中で最も印象的だったのは、インバウンド(外国人域内宿泊数)の力強い伸びです。
東北観光は、2029年レベルへの早期回復を目指して2025年の目標を掲げていましたが、結果として以下の通り、目標を大幅に達成しました。
- 東北6県: 目標168万人泊に対し、257万人泊(大幅達成)
- 東北7県: 目標206万人泊に対し、309万人泊(大幅達成)
コロナ前(2019年)比で200%という驚異的な成長を遂げており、特に台湾市場の伸びが顕著です。また、人流データを分析すると、個人自由旅行(FIT)の普及や航空会社等の路線インフラの恩恵により、外国人観光客のアクティビティ範囲が東北域内でより広範囲に広がっていることも分かっています。インバウンドの消費額は国内旅行客よりも明らかに大きく、人口減少や少子高齢化、深刻な人口流出に直面する東北の地域経済において、観光がもたらす経済波及効果は「工夫」によってさらに拡大できる無限 の伸びしろがあります。
一方で、明確な課題も浮き彫りになりました。 現在、1〜3月の国内閑散期におけるインバウンド利用は増えているものの、「グリーンシーズン(春夏秋)の誘客」が大きな課題となっています。また、他地域と比較して「連泊(ロングステイ)」が少なく、消費単価のさらなる向上や、まだ戻りきっていない国内観光客の維持・拡大(特に関西圏などの新規開拓)など、エリア間競争が激化する中で従来のやり方に頼らない「東北観光の変革」が求められています。
今後は、成熟市場の維持だけでなく、欧米豪(ロングホール)を新規重点市場として本格参入させ、さらには将来の注目市場であるインドなどへの「種付け」を戦略的に行う必要があります。単独でのプロモーションにとどまらず、鉄道会社や航空会社、ツアー会社といった横の連携を強め、海外プロモーションを強力に推進していく方針が示されました。
② デジタル・観光DXの軸としての「CRMとゼロパーティデータ」
これらの課題を解決し、持続可能な観光地「TOHOKU」を目指すため、2026年からの第六期中間計画では、以下の「5本柱」のビジョンが掲げられています。
- “広域”でのDX・マーケティングの更なる強化(DMP、AI、CRM、誘客アクション)
- TOHOKUへのインバウンド誘客の飛躍的拡大(欧米豪の本格参入)
- 国内誘客の維持・拡大
- 東北観光の高付加価値化と商流構築
- 持続可能な観光推進・観光人材の育成
この戦略の要となるのが、コロナ禍から着実に準備を進めてきたデジタルマーケティング、すなわち「DMP(データ・マネジメント・プラットフォーム)」と「CRM(顧客関係管理)」の取り組みです。人流データなどのDMPデータを活用し、「ロングステイといえば東北」というブランドを確立する「Base Tohoku」の取り組みが加速します。

私たちKoeeruは、この広域DX戦略において、「ゼロパーティデータ(顧客が自発的に提供するデータ)」の収集・活用の分野で伴走してきました。その中核となるのが、今回配布された総会資料でもアンケート機能などの強みがアピールされた「Tohoku Fan Club(東北ファンクラブ)」の構築・運用です。
Koeeruは、国内・インバウンド旅行者の「一次情報(生の声)」を直接収集し、分析から実際の施策活用へと繋げる仕組みを支援しています。今後も、主観や勘に頼るのではない、確かな「データに基づく観光施策」の強化をテクノロジーの側面から支えてまいります。
③ 東北観光のパッションを受け継ぐ:専務理事・紺野様の勇退に寄せて
今回の総会では、長年にわたり東北観光を牽引してこられた専務理事の紺野様の勇退に伴う、最後の記念講演が行われました。
紺野様は、東日本大震災からの復興、 tenderそして未曾有のコロナ禍という2つの大きな苦難を乗り越えてきた東北観光の軌跡を振り返り、現状の成果とこれからの未来についてお話しされました。 講演の中で強く響いたのは、「東北をいかに周遊させていくか」という視点、そして東北インバウンドにはまだまだ「無限の伸びしろ」があるという力強いメッセージでした。何よりも、これまでの激動の時代を戦い抜いてこられた紺野様の、東北観光に対する並々ならぬ「パッション(情熱)」に、会場全体が深く胸を打たれました。
新たなステージに向かう東北観光推進機構と共に
最後になりますが、これまでKoeeruと共に、広域DMOのデジタル施策の一環として観光CRMの仕組みを共創してくださった、東観推の皆様にこの場を借りて深く御礼申し上げます。
第六期中間計画という「新たなステージ」へと舵を切る東北観光推進機構に向けて、私たちは構築してきた観光CRMをさらに拡張させ、マーケティングだけでなく様々な事業や意思決定に活用していただけるよう、全力を尽くします。東北全体の観光を支える、強固な「ゼロパーティデータのインフラ」として、Koeeruはこれからも東北の未来に貢献してまいります。
これからの東北観光の進化に、ぜひご期待ください!
PS:出張前日の気仙沼訪問を振り返って
実は、今回の総会出張の前日に、念願だった宮城県気仙沼市を訪問することができました。「気仙沼市東日本大震災遺構・伝承館」に足を運び、震災から15年が経過した中での復興の歩みの重みを肌で感じました。 同時に、気仙沼が町を挙げて構築している地域密着型のコミュニティ「Crewship(クルーシップ)」の仕組みは非常に勉強になり、地域に根ざしたファンコミュニティの理想の姿がここにありました。

そして、気仙沼といえば外せないのが地元のグルメ。今回、初めていただいた「サメの心臓(モウカの星)」が、言葉を失うほど本当においしかったです!レバ刺しのような濃厚さと歯ごたえがあり、現地に足を運ばなければ決して出会えなかった味覚でした。観光の仕事を通じて、こうした地域の新しい魅力や文化、素晴らしい食の「新たな発見」に立ち会えることは、本当にうれしく、この仕事の醍醐味だと改めて実感します。

気仙沼での素晴らしい学びと味覚、そして紺野様の講演を通じ、これからの東北観光において「点」での点在から、いかに「線」や「面」として「東北を周遊させていくか」が本当に重要な鍵であることを、改めて強く実感する出張となりました。
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