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事例

経産省新興国DX事業(ボリビア)「小規模農家の市場志向性推進アプリケーションの開発及び実証事業(POC)」

 株式会社Koeeruは、経産省が実施する令和5年度新興国DX補助事業にて、サンタクルス県農牧畜センター(SCZ)及び私立工科大学(UTEPSA)との産学官連携し、ボリビアサンタクルス県の農業セクターが抱える課題するため、①市場情報の透明性、②農家バイヤー間とのマーケットプレイス、③農業普及の効率化を目的とするDXソリューション「Mi Mercado Verde」の開発及び実証事業(POC)を行いました。

事業背景

 GDPの11%を農業で占めるボリビア。特にサンタクルス県は、国内農業生産量の74%を農業セクターが占めているが、不安定な生産基盤、バラツキの多い農産物の品質・規格、集荷・貯蔵・加工施設不足、非効率な流通システム、未成熟な販路、不足する市場情報等の課題が顕在化している。

 上記の課題を解決するために、JICAはサンタクルス県農牧畜サービス局をカウンターパートとして、市場志向性農業推進(SHEP)アプローチを取り入れた農業普及プロジェクトを行っている。

各アクターの課題

農家の課題:

 市場情報へのアクセスがない、あるいは活用する習慣がないがめ、仲介業者あるいは卸売り業者の言い値で販売している。よって、市場価格やニーズへのアクセスがないため、市場ニーズに基づく営農計画が立てられない。ニーズに合致する新しい販売先が見つからない。

市場関係者(B2B)の課題:

 商品損失や気象条件、道路封鎖などを原因とする不安定な供給。農場情報(場所、ボリューム、栽培方法、出荷時期など)がわからない。市場のニーズに合った市場志向性の高い農家とのマッチングの機会がない。

農業普及員の課題:

 農業普及を目的とする研修から販促につなげる仕組みがない。既存の市場情報が限定的(例:農家がFarmで仲介業者に言い値で販売する価格がブラックボックス)。市場調査から、アクションプランの策定、バイヤーとのマッチングからP/Lの記録まで、SHEPアプローチを活用した農業普及を効率的に管理する方法がない。

求められているソリューション

 各アクターが直面している課題を解決するためには、①市場情報の透明性、②アクター間のコミュニケーションやマッチング、販売をサポートするマーケットプレイス、③SHEPアプローチの効果を最適化するプラットフォームが必要となる。既存のアプリやマーケットプレイスはあるが、このプロセスを包括的にカバーするアプリはない。

ソリューション概要

 当社は、2021年JICA主催の「Africa Open Innovation」において、タンザニアで実施しているSHEPアプローチのDXを目的とするシステムとしてSHEP Ichibaをすでに開発しており、今回のボリビアのアプリの開発に関しては、SHEP Ichibaをベースにローカライズ、カスタマイズ及び新規開発を組み合わせ、プロトタイプを開発した。

デザイン思考アジャイル開発方式を採用し、以下のフローでソリューションを構築した。

デザインリサーチ:産学官パートナー及び実際のユーザーとなる農業普及員、農家、市場関係者に対して、インタビューやプロタイピング(システムのコンセプトやβ版を利用してもらう)を通じて、各ユーザーの現状や課題、理想の仕組みを理解した。

要件定義:上記のデザインリサーチを基に、システムの要件定義(UI/UX改善、新規機能開発、ローカライズ)を行った。

開発:上記の要件定義を基に、Mi Mercado Verdeのプロトタイプを開発した。

POC(実証事業):完成したプロトタイプを実際のユーザーに利用してもらい、課題への解決性やユーザビリティ、今後の改善点などのフィードバックを得た。

プロトタイプ完成:上記のフィードバックを基に、修正及びプロトタイプ完成後の開発要件を明らかにし、初版のMi Mercado Verdeを完成させた。

結果

  • 各ユーザーの横断的な課題解決につながるDXソリューションを開発することができた。
  • POCで各ユーザーから高い評価を得ることができた。参加者が全員10点満点中、8点以上の満足度。特に、新しい取引相手とのマッチング機能に対する評価が高い。
  • 次のフェーズにおいても、産学官連携を継続し、農業普及プロジェクトの公式ツールとして継続的利用。

今後の展望

 実証事業(POC)を終え、第二フェーズでは「アンバサダープロジェクト」として、SHEPアプローチを活用したプロジェクトの公式ツールとして継続利用しながら、Mi Mercado Verdeのアーリーアダプターと共に引き続きシステムを拡張し、今年6月でのシンポジウムでの公式リリースの発表を目指します。

↑最後の報告会では、産学官連携のパートナーや現地のJICA職員や領事館大使もご参加いただきました!

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