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北欧リトアニアのITスタートアップに注目すべき3つの理由
北欧、バルト三国の一つリトアニア。近年リトアニアは多くのスタートアップを輩出する国として注目度が上がっています。以前、北欧の国リトアニアでスタートアップが急増する理由とは?でもご紹介した通り、リトアニアには独自のスタートアップを生み出す環境があり、現在1,030社以上のスタートアップが存在、またユニコーン企業までも輩出しているのです。
そんなリトアニアでは、特にIT系のスタートアップが盛んです。例を挙げると、UberやGoogle Mapに対し、目的地に到着するための最短ルートの提案を行うシステムを提供するMaaS系スタートアップのTrafiや、従来の銀行間の高額な手数料がかかるシステムを変革し安価での国際送金サービスを提供するTransfer Goなど多くの世界的にサービスを展開するIT技術、企業がリトアニアで生まれているのです。
世界中でサービスを提供するような先進的なITスタートアップがなぜリトアニアで生まれるのでしょうか?本記事では、リトアニアでITスタートアップが生まれやすい理由についてその背景をご紹介します。
目次
- スタートアップのためのエコシステム
- 女性の活躍支援の取り組み
- サイバーセキュリティ
- 終わりに
1. スタートアップのためのエコシステム
まず何よりも、リトアニアの強みはスタートアップを取り巻く環境にあります。リトアニアではITスタートアップを筆頭として、フィンテック、生命科学やゲーム分野など様々な分野におけるスタートアップが生まれていますが、これらのスタートアップが生まれる背景にはスタートアップの立ち上げ、資金調達、事業拡大をサポートする充実したシステムがあります。
リトアニアのスタートアップにとって必要な役割を果たすのが、首都ブリニュスにあるブリニュステックパークと呼ばれるスタートアップのための施設です。ブリニュステックパークでは、コワーキングスペースや会議室などといったスタートアップが会社を始めるにあたり必要な施設やイベント会場を提供しており、このテックパークから多くのスタートアップが誕生しています。
また、スタートアップを増やすための取り組みは国外にも広がっています。2017年にEU圏外のスタートアップのためのリトアニアへの移住手続きとスタートアップビザの発行が開始されたことにより、EU以外の国からスタートアップを始めたい起業家が移住し、事業を始める環境が提供されるようになりました。以来、60以上のスタートアップ創業者が家族と共にリトアニアに移住し、そのうちの61%がリトアニアで事業を行いながら投資を募ったといいます。
さらにリトアニアではITのインフラが整備されており、公共のWi-Fiのスピードに関しては世界で1位、4Gのつながりやすさでは世界で9位にランクインするほどです。加えて、およそ50%の国民が最低でも2か国語を話すことができる上、若者の多くが英語を話すことができ、海外からの移住者が生活しやすい環境が整っています。
リトアニアは北欧に位置することからヨーロッパ市場へのアクセスがよく、ヨーロッパの顧客を狙うスタートアップはもちろん、既存の大企業からも注目されており、Google, Uber, Wixなど世界的大企業の支部がリトアニアに設立されることも多いのです。
2. 女性の活躍支援の取り組み
STEMやITの分野における男女の割合については、男性が多数を占めることが多く、テック業界などで女性が働きやすい環境作りの必要性が叫ばれています。
そんな中、スイスのビジネススクールIMDが発表した2020年のワールドタレントランキングで、リトアニアは職場における女性の割合が50.2%で世界1位であると発表されました。働く環境における女性の割合が他国と比較して多く、性別による偏りが少ないということがわかります。
この背景として、リトアニアのIT業界ではテック分野で活躍する女性を増やすための取り組みが行われています。Woman go Tech(IT業界で活躍する女性のための団体)やWoman for Global Challenges Program(女性がイノベーションを起こす支援をするプログラム)などがリトアニアで始まり、IT業界のジェンダーギャップをなくす取り組みが性別によるIT業界への進出のハードルを下げ、性別にとらわれない能力のある人材確保に貢献しています。
しかしジェンダー平等の観点では課題もあり、EU加入国の中では男女平等指数ではヨーロッパの平均を下回っている、スタートアップの創始者に女性が少ない、また女性が経営するスタートアップに対する資金提供が十分に行われていないことなどが挙げられます。
そんな中、リトアニアでは2020年には女性の首相が就任し、議会の女性の割合が増加するなどといった変化も生まれています。今後も女性が社会で活躍するための環境づくりとして様々な取り組みが行われるでしょう。
3. サイバーセキュリティ
リトアニアはサイバーセキュリティに力を入れており、ITUの最新のグローバルサイバーセキュリティランキングで世界4位にランクインしています。
1 | イギリス |
2 | アメリカ |
3 | フランス |
4 | リトアニア |
5 | エストニア |
リトアニアは政治的理由からサイバー攻撃を受ける可能性が高く、サイバーセキュリティへの対策が必要とされ対策が講じられているほか、法律でもサイバーセキュリティを厳しく取り締まっています。リトアニアのサイバーセキュリティに関する法律は、悪意のあるオンライン活動(ボットネットへの参加など)に参加している公共の電子通信インフラに対して、管轄当局が措置を講じることを可能にすると規定しています。
リトアニアのサイバーセキュリティの対策のために優秀な人材が集まり育成されていくことから、国内のタレントプールが構築され、多くのICT(情報通信技術)プロフェッショナルが存在します。
このことから、海外企業がリトアニア支部を設立し、ICTの部門を設置する事例が多くあります。例えば配車アプリのUberは、ヴィリニュスのオフィスでIT開発サービスを提供することで、コアインフラの50%を引き受けています。ホームページ作成ツールを提供するWIXは、Wix.comアプリケーションや戦略的なWIX R&Dプロジェクト、人工知能ソリューションの開発を担当している経験豊富なプログラマーで構成されたリトアニアのチームを結成し、現在も成長を続けています。
(下記、参考記事)
4. 終わりに
Koeeruの前身となる「Syno」の概要とプロダクト紹介
リトアニア発ベンチャーであるSyno Japanは、独自に開発するSaaSシステムを活用し、顧客から同意を得たゼロパーティデータを広告主及び媒体社が主体的かつ効率的に収集する仕組みを構築することができるプラットフォームソリューションを提供しています。
150か国1億人以上のグローバルパネルネットワークを活用し、
・越境ECを行う際の現地調査としてのグローバルアンケートの作成、収集、分析
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