
ケーススタディ
新型コロナウイルス危機状況下における国際比較研究のためのグローバルリサーチ| 京都大学様

京大力、新輝点。
※本記事は2021年2月作成の再掲です。Koeeruの前身となるSyno Japan社が作成しています。
研究の概要

京都大学経営管理大学院の劉です。中国のハルビン出身で、大阪大学経済学研究科経営学系専攻博士前期・後期課程修了(Ph.D.)、博士課程教育リーディングプログラム大阪大学超域イノベーション博士課程プログラム5年制修了後、広島市立大学国際学部専任講師を経て現職になります。私が主に研究対象としている分野は「国際人的資源管理、組織行動、異文化マネジメント」です。現在進行中の研究は、派遣社員に関する研究、現地採用についての研究、在日外国人従業員の研究、国際ビジネスにおける言語とコミュニケーションについての研究、バーチャルワーク(Virtual Work)についての研究、リーダシップの研究を主に行っています。
研究の課題
私の研究は、主にニッチな対象者をフォーカスしています。例えば、在日の外国人、海外で働いている駐在員など、国外かつニッチな対象者なので、データ収集は大変難しくて、且つ非常に高いです。研究費の予算が限られているので、研究の進みは大変難しいです。今回依頼をお願いしたアンケート課題は、「新型コロナウイルス危機状況下におけるブリッジ人材の現地語能力とジョブデザインに関する国際比較研究」です。目的として、新型コロナウイルス危機下において、各国で生活している外国人従業員のブリッジ機能の変化、そして現地語能力と彼らの心理的ストレスや、仕事に対する満足度や、ジョブデザインなど行動的な変化とその結果について、2回に分けて8カ国で研究調査を実施します。国際比較研究を通じ、ブリッジ人材と呼ばれる人材は新型コロナウイルスの危機下における行動的な変化を分かる上で、新型コロナウイルスの危機が終息してから会社がどの様なサポートを提供すべきかを明らかにします。
ソリューション(Syno Japan記入)
今回のアンケートの対象条件は、「海外に住む駐在員(在留外国人を含む)」という非常に出現率が低いため、従来の市場調査会社が提供する「既存のアンケートパネル(自社あるいはパートナー)を活用したインターネット調査」では実現が厳しいため、弊社のグローバルリサーチサービスに新規パネル構築を組み合わせたソリューションを採用頂きました。下記のように従来の市場調査会社モデルだと、アンケート対象の出現率が高い場合は、アンケートの実施を安価かつタイムリーに(特に自社パネルを利用した場合)行うことができますが、出現率が低くなるとパネル単価が高くなるため、継続的にアンケートを行うことができませんでした。

Synoが提供するグローバルリサーチは、アンケート主体者が国内外を問わずに、グローバル150か国約一億人のアンケートパネリストに対して、直接アンケートを配信することができるサービスです。出現率がある程度見込まれるときは、既存のMR及びメディアパネルを活用しますが、今回のような出現率が厳しい場合は、新規で対象者をリクルートし、アンケートパネル化することで継続的なアンケート調査が実現すると共に、アンケート参加者の管理やインセンティブ付与などのオペレーション業務も効率化することができます。

新規パネル:既存のMRパネルやメディアパネルには出現しない条件の対象者を特別にリクルートして構築するアンケ―トパネル
MRパネル:各国の市場調査会社が構築する調査目的のためのアンケートパネル
メディアパネル:Koeeruが各国のメディアと協業して構築するアンケートパネル
対象者のリクルートからアンケート集計(2回)の結果を集計までの流れは以下の通りとなります。

ソリューションの結果
- 各国の駐在員コミュニティや現地のパートナーとの協力の元、8か国(日本、ベトナム、ブラジル、イタリア、ドイツ、スウェーデン、英国、米国)の約1000名の駐在員のリクルートに成功し、学術論文に利用するための定量調査を2回に分けて実施しました。
- 通常の一度きりのアンケート調査ではなく、アンケートパネルをコミュニティ化することで、今後のアンケート調査に対しても一からリクルートする必要がなく、今回のような時系列で対象者の意識を調査することが重要な場合は、アンケートパネルの新規構築はさらに重要となります。
- 既存のパネルから出現率が極端に低い対象者を抽出するのではなく、新規パネルを構築することにより、調査に係る費用を圧縮するだけではなく、短期間で効率的に二度の追跡調査することができました。
今後のチャレンジ・展望
今後は、定量調査だけではなく、対象者に対してオンラインでデプスインタビューを実施し、さらに深堀することができるサービスの利用を検討していますので、構築したパネルを様々な調査ニーズに活用していければと思います。そのためにも、一回の収集で終わるクロスセクションデータ (Cross-sectional data)は良い国際雑誌でほぼ評価されませんので、追跡調査を安価かつ効率的に実施することができる仕組みとして、アンケートパネルの活用に期待しています。

出現率の低いデータを収集いただき、大変ありがとうございました。ポストコロナ時代で高質な研究データを確保できることを期待しております。
京都大学経営管理大学院 劉様より
本記事にご興味やご質問がございましたら、お気軽にご相談くださいませ。
Related Articles
新着情報をメールで受け取る
ニュースレターにご登録いただくと、新着情報やWebセミナー、イベントの情報をお届けします。