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グローバルVOCスタートアップの「両輪の経営」を追求し続けた2022年を振りかえる

12月 29, 2022

 Syno Japan及びVietnam代表取締役、株式会社Koeeruチーフデザインオフィサーの長野です。2022年も気づけば、あと3日となりました。

 Syno Japan株式会社として7年目、Syno Vietnamとして5年目、株式会社Koeeruとして2年目となる2022年は、既存のソリューションをさらに深化しながら、新たな分野の顧客の声 (VOC=Voice of Customer)に特化した顧客データ基盤(CDP)を開発する「両輪の経営」を、経営者である私を含め全メンバーに求められる、非常に舵取りが難しい年でもありました。ゆっくり時間をとって振り返る暇も余裕もない1年でしたが、スタートアップとして大きく飛躍できた年となりましたので、最終営業日の翌日となる今、改めて今年の取組を振り返ってみたいと思います。

既存VOC事業の深化

観光CDP事業

 観光庁が推進する、「観光による地方創生や地域の活性化」を目的とする観光DX分野において、広域連携や地域連携、地域の観光地域づくり法人(DMO)様との観光客データ基盤共創プロジェクトが2年目を迎え、初年度に設計、開発、POCを実施したデータ基盤のアジャイル拡張を進めてまいりました。

取組事例:

  • 広域連携DMO:東北観光推進機構様の国内及びインバウンド観光客の東北ファンを対象とする地域ファンコミュニティTohoku Fan Clubを活用したCRMシステムの機能拡張と、英語以外の多言語化(中国語簡体字、繁体字、タイ語)とインセンティブの仕組みを追加及びDMPとの連携。
  • 地域連携DMO:長野県観光機構様が構築する観光データ基盤と連携する長野県ファンを対象とするファンコミュニティ「ながのファンコミュニティ- Share Your Voice. Share Your Nagano.」の構築と昨年構築したCDPとの連携
  • 地域DMO:八幡平DMO様が、昨年の12月から実施している八幡平市の宿泊施設とのQRコードを活用した観光客アンケートの仕組みを拡張し、宿泊施設のみならずスキー場などのタッチポイントを持つ事業者と協力し、収集した八幡平に対する観光客の声を可視化するダッシュボードと地域で共創する多言語のCRMシステムを構築し、昨年構築したCDPとの連携。

 八幡平DMO様との取り組みにおいては、観光庁が実施する「R4年度訪日外国人旅行者周遊促進事業」における専門人材として、データ分析・基盤構築担当として6月より八幡平DMOのスタッフの一員となり、データを活用したマーケティングを一緒に進めていく機会を頂きました。よりユーザーの気持ちになって考えることができ、地域に入り込んでCRMを設計できたことは非常に良い経験となりました。

グローバルSHEP事業

 JICA主催のAfrica Open Innovation 2020に採択頂き、JICAが推奨するSHEP理論に基づき、タンザニア小規模農家の自立的なデータ収集から農家グループへのデータ共有、データを活用した農業経営を支援するシステム,「Anzia Sokoni(スワヒリ語で市場に行こうの意)」をタンザニアのSHEP専門家チームや現地の農家や農業普及員、バイヤーと一緒に開発しました。2年目となる今年、引き続きタンザニアで利用して頂きながら、システムの改善やビジネスの事業化に向けて議論を進めています。来年は、タンザニアにおけるさらなる事業の発展と他のSHEP事業への横展開を目指す予定です。

グローバルリサーチ事業

 昨年に引き続き新型コロナウィルスの影響を受け、日本企業の海外を対象としたビジネスの舵取りが厳しい中、ようやくインバウンド市場が復活の兆しが見え、さらに円安の影響で越境EC市場が大幅に増加している今、海外の消費者に対する市場調査やコンセプトテスト、広告効果の測定など、定量及び定性のグローバルリサーチへのニーズがようやく復活して、さまざまな業種のB2C及びB2Bの企業様をサポートしております。また、中小企業庁「JAPANブランド育成支援等事業」 支援パートナー中小企業庁「デジタルツール等を活用した海外需要拡大事業」支援パートナーに選定頂き、中小機構東北本部主催のウェビナーにも登壇させていただきながら、中小企業様の海外進出も昨年に引き続きサポートしております。

ゼロパーティデータ事業

 個人情報保護規制の強化に伴う、サードバーティCookieに頼らないデータ基盤(DMP)構築が広告主及びパブリッシャーサイドで進められる中、以前ゼロパーティデータを活用した施策につなげられないクライアントは多くいます。このニーズにお応えするために、当社独自のゼロパーティデータの収集から管理、活用に特化した、下記の機能を持つデータ基盤<Koeeru>を開発しました。

  • VOC Collector: ゼロパーティデータを提供する顧客のアンケート体験を最適化するためのアンケートシステム
  • VOC Community: 自社ブランドのファンコミュニティ構築による、ファンに対してアンケートや情報を提供しながら、継続的なゼロパーティデータを収集するためのコミュニティシステム
  • VOC Audience:外部のアンケートパネルプラットフォームと連携し、オウンメディア訪問者とマッチしたオーディエンスの属性を拡張(1stパーティデータの拡張)するシステム。マッチするIDとして、Cookieではなく、ハッシュ化されたEmailでマッチする仕組みを開発
  • VOC Connector:上記のシステムを活用して収集するゼロパーティデータとオウンメディアのアクセスログやPOSシステムのデータを連携するためのシステム
  • VOC Base:上記のシステムを活用し、収集及び連携したデータを統合し、分析し、顧客セグメントを構築するためのシステム
  • VOC Direct:VOC Base内で構築した顧客セグメントに対して、メールマーケティングやリコメンドなどを行うためのダイレクトマーケティングシステム
  • VOC Ad-Connect:VOC Base内で構築した顧客セグメントを広告プラットフォームと連携し、オーディエンスデータとして活用するためのシステム

CX事業

アンケートで収集した顧客満足度やネットプロモータースコア(NPS)を分析し、タイムリーな顧客体験(CX)の改善や開発チームへのフィードバックへとつなげる取組みを当社のアンケートシステムとBIシステムでサポートさせていただく機会をお送りいただきました。今年は、B2C企業のみならず、B2B企業のCX事業にもかかわる機会が多くあり、簡易なアンケートシステムでは再現が難しい、お客様のニーズに合わせてアンケートシステムをカスタマイズし、ダッシュボードを構築しています。特にダッシュボードは、データの可視化のみならず、実際のアクションにつなげて、効果の改善を可視化するためのクローズループの仕組みを大手運輸会社様に開発させていただきました。

オープンイノベーションを通じて、新たな分野のCDPを共創

 上記の観光特化型CDPに続き、2023年度より下記の3分野のCDPをオープンイノベーション事業として共同開発しております。昨年のJICA主催のオープンイノベーションに続き、このような公的及び民間のスタートアップに対するサポートは、まだVCからの資金提供を受けていないわが社にとって、非常にありがたいです。

  • MUIC Kansai 「ホテルVOC 共創マーケティング」:一般社団法人関西イノベーションセンターが運営するイノベーション創出拠点MUIC Kansaiの課題解決プログラムとして、大阪市内の7つの宿泊施設(ヴィアイン大阪京橋/ヴィアインあべの天王寺/クロスホテル大阪/ザ ロイヤルパークホテル アイコニック 大阪御堂筋/ザ ロイヤルパーク キャンバス 大阪北浜/ホテル阪急レスパイア大阪/フォーズホテル近鉄 大阪難波)と協力し、大阪の観光客の声を収集し、分析した結果を可視化し、各施設及び地域全体のアクションにつなげるためのデータ基盤を構築しました。来年は、この基盤を大阪全体の地域共創データ基盤へと更なる拡張を目指します。
  • 神奈川県 「ポストコロナのEC事業者を支える顧客データプラットフォームの構築」:神奈川県が推進するベンチャー支援事業「ビジネスアクセラレーターかながわ(BAKバク)」の大企業提示テーマ型事業における、小田原に拠点を構えるHamee社のEコマースにおける顧客データを活用したデジタルマーケティング課題を解決するため、Hamee社とEコマースに特化したCDPとして、顧客行動の可視化や管理、将来的には広告投資効果の検証ができるKoeeru for ECのプロトタイプを共同開発しています。
  • JETRO 「越境ECに特化したCRM事業」:JETRO主催「令和4年度中堅・中⼩企業輸出ビジネスモデル調査・実証事業費補助金」事業に採択頂いた、日本食ファンのコミュニティ化による、越境ECに特化したCRMシステムの構築を、既に越境ECを行っている、あるいは今後越境ECに興味がある中小企業、越境ECをサポートする地域商社や自治体、DMOと共に構築しています。

 以上、既存の事業と新たなデータ基盤事業について振り返ってみましたが、事業以外でも、JETRO主催のスタートアップをサポートする「海外展開集中支援プログラム」への参加やKoeeruの鎌倉への本社移転ウェブサイトのリニューアルや人員の拡充など、改めて盛りだくさんの一年だったなと実感します。 

 スタートアップ五か年計画の1年目となる2023年、既存や新規のお客様やパートナー企業の顧客データに関わる課題に真摯に向き合い、顧客の声(VOC)に特化したスタートアップとして、会社、そして経営者としてさらなる飛躍を目指してチーム一同頑張ります。

2022年12月29日

 長野 草児

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